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梶山季之『族譜・李朝残影』



梶山季之『族譜・李朝残影』岩波現代文庫

「族譜」、「李朝残影」、「性欲のある風景」

京城(ソウル)で生まれ育った梶山季之の三つの作品を読みました。

日本による朝鮮植民地支配の実態が細かく描写されています。
感情を持ったひとりの人間(梶山季之本人かのような主人公)を通して描かれる創氏改名にショックを受けました。
日本の敗戦で大きく揺れていた1945年8月15日の京城(ソウル)の様子もとりつかれるように読んでしまいました。
支配側(権力側)に著者のような良心や罪の意識を持った人物がいたことは救いのようにも感じられますが、現実を変える力のない罪の意識は被支配側にとっては何の意味もないということも痛いほどよく描かれている作品でした。

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  1. 2017/05/12(金) 15:10:42|
  2. ●韓国にまつわる読書記録
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川村湊(2000)『ソウル都市物語―歴史・文学・風景』



川村湊(2000)『ソウル都市物語―歴史・文学・風景』 平凡社新書

李朝の都・漢陽から日本植民地下の京城へ、そして現代のソウル特別市へと移り変わってきた都市ソウルを、さまざまな史料や文学作品をつなぎあわせて描き出していく内容です。

京城で育った李箱、同じ時代に支配側として京城にいた梶山季之、闇を抱えながら発展を遂げていくソウルを描いた中上健次、李良枝など、たくさんの文学者の目線が紹介されていて、巻末の参考文献リストをすべて読んでみたくなりました。

今観光で訪れている明洞や鐘路、地下鉄の路線図で目にしている往十里や永登浦などがそれぞれの時代にどんな意味を持った場所だったのかも紹介されています。

  1. 2017/05/12(金) 14:12:55|
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渡辺吉鎔(1996)『韓国言語風景』



渡辺吉鎔(1996)『韓国言語風景―揺らぐ文化・変わる社会 』岩波新書

期待せずに読みはじめたら第一章からものすごくおもしろい。

第一章 日韓文化の遠近
1 ことばに宿るコスモロジー
2 数の民俗
3 「気」と動物のイメージ
4 「色」の世界

五行思想が日本語と韓国語に残している影響を知って、今までわけを知らずになんとなく受け入れていたこと、例えば「韓国の運動会は青組と白組に分かれている」、「東西に龍と虎が守り神として配置されている」、「日本語の色のことばは基本の五色だけが形容詞の形を持つ(青い、赤い、黄色い、白い、黒い)」(茶色は例外)など、それらの根底にこの五行の考え方があることがわかって目から鱗でした。

  1. 2016/11/27(日) 15:45:09|
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済州4・3をめぐる読書

済州4・3事件にまつわる本を読んできたので、まとめて記録。

はじまりは、チェッコリで金石範先生にお会いしたこと。
ご挨拶したものの作品をひとつも読んだことがなかったので、これを機に読もうと思い、スンボクさんにおすすめを聞きました。

すすめてもらい読んだのが『満月』。

大阪に暮らす済州島出身の男を主人公とした小説です。
男の母親は4・3事件のときに滝で銃殺されていて、大阪で毎年祭祀が行われている。
4・3の遺族たちを中心にした作品でした。



その後、チェッコリにクォン・ユンドクさんの新作絵本『나무도장』が入ってきました。
やはり済州4・3を題材とした作品で、物語の前後に歴史の解説もついています。
島の人を撃ち殺した側の警察が、その銃殺現場で生き残った赤ちゃんを育て、そのことを小学生になったその子に告げるという内容。

チェッコリでこの絵本をテーマにしたイベントを企画することになり、『나무도장』の日本語訳を作りました。

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今度は、この絵本を「済州島四・三事件を考える会」の記念行事で販売することになり、4月に記念行事に参加しました。
その行事で心に残ったのは、だれが悪者でだれが犠牲者だということよりも、島の狭いコミュニティで起きてしまった悲劇をどう乗り越えるか、どう許して関係を再生させるかという前向きな姿勢が示されていたこと。
済州島の歌や踊りにも触れて、自分のなかでもこのテーマに取り組む意味のようなものが少し見えた日でした。
この日、『나무도장』の絵本と日本語訳を金石範先生にもお渡ししました。

5月には、一橋大学で金石範先生が講演をするというので聞きにいきました。
金石範先生が「日本語訳よかったよ」と声をかけてくださって感動しました。
講演で、先生の大作『火山島』のもととなった「鴉の死」という作品への思い入れを聞き、これは読まなくてはと思いさっそく読みました。
「鴉の死」は、4・3事件真っ只中の済州島を舞台とした小説です。権力側につき、島の人たちを殺す側に立ってしまった男の苦しみにぞっとしました。



講演の後、金石範先生を囲んでお茶をして、そのときに一橋大学大学院のイ・ヨンスクゼミの方から
金時鐘さんとの対談を読んだほうがいいと教えてもらったので、それも合わせて読みました。
4・3について書き続けてきた作家(金石範先生)と、沈黙してきた作家(金時鐘)の対談。どちらも壮絶な人生です。



「鴉の死」と対談を読んだあと、『나무도장』の訳を考え直しました。

そして、6月26日に、『나무도장』の作者クォン・ユンドクさんをお招きして、チェッコリでイベントを開催しました。
「済州島四・三事件を考える会」の方々や金石範先生も来てくださって、歴史と平和について考えるいいイベントになりました。


その次は、対談の聞き役として本をまとめた文京洙さんが、2015年に新しく『新・韓国現代史』を出していたので、それを読みました。



そのまた次に、金時鐘さんの人生をモデルとした梁石日さんの小説『大いなる時を求めて』をともよんださんにお借りして読みました。
対談で語っていた内容と重なる部分も多くて、金時鐘という詩人が急に自分に迫ってきた気がしました。
岩波ブックセンターに行って、金時鐘さんの他の本も買ってきました。



本が本を呼んで、つながっていく読書。こういう読み方が今はおもしろく感じます。
つづきはまたこんど。
  1. 2016/07/23(土) 11:27:41|
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ハン・ガン 『菜食主義者』

『菜食主義者』 新しい韓国の文学 1
作者 ハン・ガン
訳者 きむふな
出版社 cuon
出版年 2011



読書会に向けて『菜食主義者』を読み直しました。

平凡に生きているかのように見えた一人の女性が、ある日を境に一切の肉食を拒否し、やや狂気がかった菜食主義者に。
肉食の拒絶は、家庭や社会に潜む暴力や干渉への抵抗なのか。
植物を志向していく主人公の周りで、突然の彼女の変化に戸惑い怒り本性をむき出しにしていく家族たち。
読んでいるときの胸をつかまれるようなつらさは言葉にならないけれど、力のある作品でなにかに吸い込まれるように読みました。

きむ・ふな先生の後書きの中のことばにもどきり。

恐ろしくも魅力のある小説です。

原作
〈채식주의자〉
作者 한강(1970~)
出版社 창비
出版年 2007

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  1. 2016/05/16(月) 21:31:36|
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『日本語で読みたい韓国の本ーおすすめ50選』



『日本語で読みたい韓国の本ーおすすめ50選』を読みながら、ひといき。

解説を読んでいると、どれもみんな読みたくなってきます。

韓国の本のおもしろさに気づいてしまったことは、わたしの30代におとずれた幸運なのじゃないかしら。

K-BOOK振興会 公式ホームページ「K-文学.com」もおもしろそうです。
http://www.k-bungaku.com

  1. 2015/08/24(月) 00:41:13|
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『모두 별이 되어 내 몸에 들어왔다』 谷川俊太郎さんの詩を韓国語で 

韓国の詩人신경림さんと谷川俊太郎さん
お二人の詩、対詩、対談がおさめられた『모두 별이 되어 내 몸에 들어왔다』という本を読んでいます。

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『모두 별이 되어 내 몸에 들어왔다』というタイトルだけでも詩のようですが、これはこの本に出てくる신경림さんの詩の一部をつなげたものかと思います。

日本語版は『酔うために飲むのではないからマッコリはゆっくり味わう (日韓同時代人の対話シリーズ01)』という題で出版されていて、こちらは谷川俊太郎さんの詩がもとになっています。



学生時代、友人のくれた本がきっかけで、谷川俊太郎さんの詩に出会いました。
それから、大学の図書館にあった詩集をほぼ自分のものみたいにキャレル(大学4年生になるともらえた自分の席)の棚に並べて、ひまさえあれば、ぱらぱら読んでいました。

この人に会ってみたいなと思って、講演会などにも出かけました。
谷川俊太郎さんは、いつもTシャツ姿で、話し方も軽やかで、無邪気なおじさんという感じでした。

それから、大学の図書館を離れるときが来たので、自分でも詩集を集めて、それを大事に本棚に並べていました。谷川さんの詩集が大好きでした。読むと自由な気持ちになれて。でも、ちょっとした人生の転換期を迎えた数年前、大事に家のリビングに並べていた本たちへの愛着が重たく感じられて、衝動的にすべて手放してしまいました。今思うと大変に残念。

それから、また時が流れて、クオンさんでこの本を買いました。
ふと韓国語で読んでみたいと思って、韓国語版のほうを。

そして、読み始めました。どきどき。
谷川俊太郎さんの詩は、まず日本語で読んで、それから韓国語訳へ。
신경림さんさんの詩は、まず韓国語を読んでから、和訳を読んでいます。

谷川俊太郎さんの詩を韓国語で読んでいるということにじーんと感動して
東京の電車の片隅で幸福感に包まれています。

(詩の一部です)

花の名前を覚えたくない
꽃 이름 외우기 싫다



幼児の無邪気を失いたくない
어린 시절의 순진함을 간직하고 싶네



또 작은 것도 포함해서 나무를 무척 좋아하지만
그것들의 명칭을 외우는 일은 서투릅니다



どれも谷川俊太郎さんの詩の一節です。
こういうことばが昔も大好きだった。なんだか懐かしい。
言葉にも思想にもしばられたくない、自由でいたい、という詩。(とわたしは感じています)


신경림さんの詩のほうは、これからもう少し時間をかけて、じっくり味わいたいと思います。

  1. 2015/07/04(土) 00:22:35|
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